2022年1月大剣プロジェクト発足
2022年1月ある計画が持ち上がった
ある大物コスプレイヤーさんと一緒に大剣を持って、撮影したい!
思わず筆者は手を挙げた。「やります!」
この時、部活からプロジェクトへ昇格を遂げた時だった。予算を依頼者が出してくれるということに。
さっそく、準備に取り掛かった。
最初は加工できるかのテストを兼ねて材料や道具を買いそろえた。ダイソーやアマゾンなどで購入した。
買ってきたもの
- 特選黒刃のカッター
- 塗装のための万能ハケ
- 瞬間接着剤
- ボンドGPクリアー
- EVAスポンジシート

この時まだ、開発の最終段階までの道筋は出来ていなかった。
希望デザインが決まる
プロジェクトリーダーになった私は、プロジェクトメンバー一同、なんじゃこりゃ!と驚いた。
そのとき、決まったデザインはこちら↓


龍のモチーフがとても複雑で、造形の難易度が高そう。そう思わずはえなかった。

もっとシンプルで手作りできるレベルのイメージだったため、希望デザインの複雑さに唖然とした。
本当にこの作品を最後まで作ることができるのだろうか?そんな不安もよぎった。
ひとまず、龍の爪部分の試作を行ってみた。
アルミ保温シートにホットボンドをグルーガンで盛り付けて接着し、黒で塗装してみた。しかし、なにか納得できない。素材は柔らかく、中は空洞なので超軽量だが、もとのデザインには程遠く感じた。
これでは、未来が無い。。。そう思い、得意のあの手段の検討に入った。








ここで私は一つの決断をする。
3Dプリンターを使おう!と判断
自分が持っていた最大級のプリンターは1年ほど使っておらず、眠ったまんまだった。
このプリンターは組み立て式で、幅は70cmを超える。
つまり、組み立てると家のドア幅を超えられないぐらい大きい。最大プリントサイズ50×50×50cmと超巨大級なのだ。
これを活用しようと思っていた時、同じメーカーの販売サイトを閲覧していたら、新型の60×60×60cmの新型モデルを発見!
この時の衝動で、新しいモデルを購入する決断に至りました。ちょっとした投資^^

ひとまずは小さい剣「ミニ剣」を作ってみる
新型のプリンターを待つまでに、小型のものを従来製プリンターでプリントしてみることにした。
全長30cmほどの小さいミニ剣だ。







1回で完成品をプリントしようとすると、どうしても品質が維持できない。
そのためセンターで半分に割って、左右セットを作り、後で張り合わせる加工をしようと考えた。
デザイン中心部が左右対称(シンメトリー)の場合使える。

写真は左右を接着し、クリップで固定している図。
接着剤はアクリルのアクリサンデーなどを使う。約1分で樹脂が溶け出して、乾く際に強固に固まり固着する。樹脂溶解接続のため、簡単にはがれることが無い。
写真を見ると全長35cmぐらいになっています。






カッコイイミニ剣ができた!これを3つぐらい作り、メンバーの希望者に送付した。ちょっとみんなテンション上がっていましたね。





ミニ剣を持っていろんなイベントへ2022.4.10
この時も興奮していましたねぇ。



3Dプリンターを買ってきて組み立てる2022.3.27
注文から2週間ほどで届いた3Dプリンターは2つの箱に分かれて到着した。
梱包は割としっかりしており、無事に破損が無かった。
まずはプリンターパーツの開梱

フットプリントが大きいため、それなりの作業スペースが必要。
もともと荷物が多いので、スペースの確保にシクハク。

3Dプリンターの組み立て
かなり猫背ですね。まずは筐体の柱を組んでゆきます。組み立てラックのような手順です。

スライドするリニアレールと呼ばれる部分の組み立て

人がすっぽり収まるぐらい大きいプリンターであることがわかります。組み立てるとドアから出ないのです。

いろんなパーツを設置してゆきます。マニュアルは英語ですが、なんとなく組み立ててゆきます。
以前も組み立てた実績があるので、迷いはない!





組み立ては夜遅くにまでなりました。

何とか完成!しかし!!

トラブル発生!
プリンターの電源気落ちるという問題は発生。
理由をよく考えてゆき、新商品であることなども勘案した結果、電源が怪しいことにたどり着きました。メーカーにクレームを言って、電源代を返金してもらいました。そして自分で購入してきたパワーアップ電源に交換。
最初はヒートデッドの不良と疑っていました。しかし、理由は単純でした。









中国は220V日本は110Vつまり、日本では流れる電流が2倍必要になります。そのため、大型化されたヒートベッドの電力に足りず、システムがシャットダウンしていました。
今回、大型の電源に交換したことで、電力不足が安定しました。メーカーはそんな計算も予測できないのですかねぇ~。




プリンターの改良
新しい電源に交換したことで、動作しました。しかし、またここでいくつかの課題に直面しました。
プリントが定着しない。
今回、ガラスのベッドだったためか、プリント1層目が全く定着しない。よくもまぁこんな製品を世に出したもんだ!
前作のほうがしっかり定着していた。そのため、専用PEI板が売られていたので、購入し2週間程度で到着した。




標準のガラステーブルだと、定着力が弱くプリント失敗が続いていた。


PEIシートが到着2022.4.11
標準と比べると、表面がザラザラしており、金色の色目です。大きいので輸送も大変ですね。最初からこれを付けてオケヨ!って言いたくなるけど、買わせる前提なのかもしれないね。
左は粘着付きマグネットシート


設置した感じ。シートの下をマグネットに切り替える。あとは磁力でテーブルに吸い付く感じ。


テーブルの高さ調整が難しい
テーブルの水平を保つため、いくつかのねじでバランスをとるんだけど、これが標準仕様ではまず困難。アマゾンで改良スプリング(黄色いの)を買ってきて設置したら、完璧に機能した!
メーカーの詰めの甘さに驚かされる。



3Dプリンターでモンハンの大剣を作る
いよいよプリンターが仕上がってきたので、テストプリントを行ってみる。

大剣の3Dプリント準備
良い感じにプリントが定着し、順調だ。
今回は、超でかいプリントのため、フィラメントリールは通常の1kgに対して3kgにした。
そのため、通常のリール設置ができず、フォトスタジオで使うライトブームを代用して、3kgの即席フィラメントホルダを作った。逆側にはカウンターウエイトを設置してバランスをとっています。

変更した電源のための電源ホルダーを3Dプリントした。


龍部分の鼻をテストプリント2022.4.13
1層目が良く定着し、プリントされていきます。






プリントの様子2022.4.15
プリント開始から2日経過しましたが、まだ途中です。中にジグザクに中身が印刷されているのは、サポート材といい。建築現場でいうところの足場になります。
加工後に足場(サポート材)は撤去します。










プリントの様子2022.4.16
先日よりも高さが出てきて、形状がしっかりと見えてきました。





プリントの様子2022.4.17
約5日間で片側の龍の鼻部分が完成!









重量は823gでした。


喜びの翌日
なんとなく未来が見えてきた日だった。サロンメンバーにも共有したところ、コーフンしていましたね。












反対側の龍の鼻部分もプリント2022.4.19
1回目の成功から、即座に次のプリントに入り、順調に進みました。まだ、全体パーツの10%程度です。




龍の鼻プリント待ち時間にバリ取り作業 2020.4.20
まず、カニ身取りという作業を行います。サポート材を除去する作業です。この作業により、大剣が軽量化されます。
その後、細かいバリをカッターや鉄やすりで取り除いてゆきます。結構時間がかかる骨が折れる作業です。


接着前の仮合わせを行ってみると?
左右でズレがあります。これは、3Dプリンターのバックラッシとプリントの方向が異なるためのズレで、致し方ないのですが、このズレをパワープレイ(力技)とパテ埋めなどで修正してゆきます。







一番大きいパーツをプリント開始2022.4.25
このプリンターの最大の魅力である、600mmのプリントサイズを最大限生かして、人生最大級のプリントを開始しました。
沖縄の旅行から帰ってきて、プリント開始!






旅行中に完成した爪部のプリント2022.4.26
重量は845gもあります。そして裏面は閉じたプリントになっているため、カニ身取りが困難な状況でした。これを、裏側(見えない側)を超音波カッターでカット。内部のサポート材を除去しやすいように丸い穴を3つほど開けました。強度が落ちない程度です。










大きいパーツのプリント途中2022.5.1
このパーツは2週間以上かかるパーツで、スライサー(3Dプリント前の情報アウトプットソフト)上では14日と19時間11分とあります。
使用する樹脂量は2707g、距離にして907.61m(φ1.75)もの長さのフィラメントを使用します。つまり3kgのフィラメントが無くなる計算です。とんでもない距離ですね。0.9kmもの長さということです。家から駅まで行くぐらいの距離だろうか?
人生最高のサイズのプリントです。



地震が発生2022.5.2
関西地方で地震が発生!これにより、3Dプリンターが共振して、エクストルーダーがズレたことで、プリントが破壊されてしまいました。ちょうど夜間で、オンラインサロンのZOOMミーティングをしている時でした。

途中で破断したなれの果て。よく見ると髭のようになっているのは、ミスプリントした部分。
約10日間分のプリントが水の泡となってしまいました。



プリント再開2022.5.6
再開してここまで来ました。本当に時間がかかります。



2022.5.7
プリントの様子。

壊れたプリント部と仮接続してみた
龍部分の大きさがなんとなくわかってきます。もう机のサイズにはまらなくなってきます。

壊れたプリント物を運動会にもっていった。
新幹線で持っていくにはちょっと大きすぎて大変でしたが・・・。

ミニ剣の着色をしてもらった。
プロジェクトメンバーに美大出身の人がいて、着色してもらったら、この出来栄え!
白い状態からしたら、すごい完成度に!これが大きくなるのかぁ~とイメージしだした。
これだけでも満足度が高いの。




遠近法で撮影してみたらこんな感じ!なんとなく完成のイメージがわいてきた。

印影があり、肉肉しさが伝わってきますね。